リハのこの人、第7回は田村久子氏です。
田村氏は当院に在籍する唯一の言語聴覚士です。
言語聴覚士という職業に馴染みのない方もいると思われますが、
今回は5つの質問を通して田村氏、
そして言語聴覚士という職業について深く掘り下げていきたいと思います。
この仕事についたきっかけは?
元々医療・福祉関係に興味がありましたが、大学では無関係の日本文化を専攻し、
特にこれと言って就きたい仕事も見つからないまま、
なんとなく過ごしていました。
進路を考えていた時にこの仕事を知り、
大学卒業後に2年間養成校に通えば良かったことと、
私が学校に通っていた頃にちょうど、国家資格になり、
新しい資格だったということで、軽い気持ちで足を踏み入れました。
勉強中に祖母が言語聴覚士のリハビリを受けることで、身近なものになり、
よりやってみたいと思うようになりました。
言語聴覚士とはどのような仕事ですか?
簡単に言うと「ことば」に関するリハビリと
「食べること」に関するリハビリを担当しています。
病気や事故、加齢等によって話す・聞く・読む・書くといった言語機能や
高次脳機能が低下してしまった方へのリハビリや、
口やのどの機能の低下等により
食事が上手くとれなくなった方へのリハビリを行っています。
上牧温泉病院と老健施設 草笛の里で勤務していますが、
どちらも食べるためのリハビリが割合的には多いです。
業務の中で最も印象に残っていることは?
以前働いていた施設に入所されていた終末期の方の話なのですが、
その方は視力・聴力が低下していて認知症もあり不安感が常にある状態でした。
そんな中でも私を認識してくださっていて、
落ち着くための対応をすることがよくありました。
ある日、外で好物の菓子パンを食べていた時に、
「幸せだなあ、このことを一生忘れない」とおっしゃいました。
間もなく亡くなられてしまいましたが、
その方に対して何もできることがないと悩んでいた時に
聞いた印象的な言葉でした。
常に「何ができるだろう」「何をしたら良いのだろう」と悩むことはありますが、
関わっていく皆さんが
幸せな気持ちを感じられる関わりをしていきたいと考えています。
仕事以外に夢中になっていることは?
家に帰ってペットのミニブタを愛でたり、
かわいい動物の画像や動画を見たりして癒されています。
器用ではないのですが割と手作業が好きなので、
最近は粘土細工を教わり始めました。上手くできるようになりたいです。
今後の目標は?
摂食・嚥下障害では「食べたいのに食べられない」
「安全に食べられないけど食べさせたい」
「食べたくないのに食べなければならない」など
ご本人・ご家族の希望が状況に合わないことが多くあります。
安全性を考慮しつつ、よりご本人の希望・満足に近づけられるサポートが
できるようになりたいです。
田村氏の知られざる意外な一面や、
言語聴覚士という職業について深掘りすることができました。
次回もお楽しみに!