圧迫骨折とは?
みなさんは背骨の「圧迫骨折」という言葉を聞いたことはありますか?
背骨の圧迫骨折とは、背骨が押しつぶされて変形してしまう骨折のことです。
原因の多くは、転倒や尻もちをつくといった衝撃での受傷ですが、
骨が脆くなりやすい高齢者や骨粗しょう症の方では重い物を持ったり、
せきやくしゃみ、日常のちょっとしたきっかけで起こることもあります。
そのため、本人も「いつ受傷したのか分からない…」そんなこともあります。
また、頸椎、胸椎、腰椎、仙骨の4つ背骨のうち、
圧迫骨折は「胸椎」と「腰椎」で起こりやすいとされています(図1)。
人により症状は異なりますが、主な症状としては
「背中や腰の痛み」「姿勢の悪化」「身長の低下」などが現れやすい
とされています。
図1
【胸椎圧迫骨折】
胸の部分の背骨が圧迫される骨折で、
背中の痛みや姿勢の悪化などが症状として現れやすい
【腰椎圧迫骨折】
腰の部分の背骨が圧迫される骨折で、
腰痛や下半身のしびれなどが症状として現れやすい
では、圧迫骨折を受傷しない、悪化させないためには
どのようなことに気を付ければ良いのでしょうか。
圧迫骨折は予防できる?
常日頃からできる一般的な予防方法として、4つの事柄をご紹介します。
① 骨を強くすること
前述したように、年齢を重ねると骨が脆くなりやすくなります(骨密度の低下)。
骨密度を高めるためにも普段から栄養バランスの良い食事を心掛け
カルシウムやビタミンなどの栄養を充分に摂りましょう。
また、体でのビタミンDの生成を促すため、
1日に20~30分は日光を浴びることもおすすめです。
② 早期発見・早期治療すること
骨密度検査やレントゲン検査などで、
骨の状態を定期的にチェックすることも大切です。
また、背中や腰の痛みが1ヵ月以上続く場合は、
整形外科などの医療機関を受診してみることもおすすめします。
圧迫骨折は放置すると
さらなる背骨の変形や神経を圧迫してしまう危険性があります。
そのため当院では多くの場合、
コルセットで固定した上でのリハビリテーションを行っています。
③ 適度に運動すること
運動することで筋力やバランス感覚を高め、
転倒のリスク自体を減らすことができます。
また、ウォーキングなどの体重をかけた活動により、
骨に刺激をいれることは骨を強くすることにもつながります。
具体的にはウォーキングを1日8000歩、
週に3日以上を1年間継続することで腰椎の骨密度が上昇した
という研究結果があります。
④ 背骨を支える力を強くすること
脆くなった背骨に外から力が加わり、圧迫骨折が引き起こされます。
そのため、背骨を支える力を強くすることで骨折を予防します。
ここでは代表的なエクササイズを紹介します(図2)。
図2
①肩の真下に手を、
骨盤の下に膝がくるように四つ這いの姿勢をとります。
②最初は手または足のみを伸ばしてみましょう。
③ ②ができた方は対角線の手足を伸ばしてみましょう。
※腰が反ったり、頭が下がらないように注意しましょう。
参考文献:高橋浩平、骨粗鬆症予防のための理学療法の一環としての栄養学的管理、理学療法(38巻8号)2021年8月28日(P692~701)
骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会、骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版、ライフサイエンス出版株式会社、2015年7月10日