こころの健康について考えてみませんか?

皆さんにとってストレス解消法は何ですか?
ちなみに、
私は、お休みの日に美味しい物を動けなくなる程たくさん食べることです。
60歳以上の男女に同じ質問をしたところ、「特にない」と答えた人が全体の約40%もいることが分かりました1)
こころの健康を保つうえで、自分に合ったストレス解消法を見つけることはとても大切なことです。
今回は「ストレスとは?」をテーマに、ストレスがもたらすからだの中の反応や、加齢に伴うストレスについて説明します。
まず、ストレスを感じた時、私たちのからだの中ではどのようなことが起こっているのでしょうか。
ストレスに関係するホルモンの代表的なものは、図1の3つです。

図1. ストレスに関係するホルモン

ノルアドレナリンは、ストレスがかかると放出されるホルモンであり、自律神経にはたらきかけて心拍数を上げたり、血液量を増やしたりと、活動しやすい状態を作ります。
一方、ストレスになるような辛い状況を乗り越えたときの達成感、嬉しい気持ちなど、快感をもたらすのがドーパミンです。
そして、この2つのホルモンをコントロールして、気持ちを安定させるのがセロトニンです。ストレスによる心身のダメージを減らすには、それぞれのホルモンのバランスが重要となります2)

加齢に伴うストレスは、若い時のものとは異なり、その原因も多様化します。
例えば、退職を迎える、身近な人とのお別れといった「喪失体験」が重なることがストレスになることもあります。
また、身体的な衰え、記憶力の低下、視覚・聴覚機能の低下を感じることで、気分が落ち込んでしまうこともあります。
このような様々なストレスが積み重なると、こころの病気に繋がってしまいます。
こころの病気で受診をしている人たちは、国内で約420万人にものぼります(平成29年)。
これは日本人のおよそ30人に1人の割合です。
そして生涯を通じて5人に1人がこころの病気にかかるともいわれており、誰でもかかりうる病気だということが分かっています3)

こころの健康」は「からだの健康」にも影響します。
ストレスが溜まったまま解消されずにいると、頭痛やうつ病、自律神経失調症、高血圧など様々な病気になることがあります。
また、年齢でストレスに対しての心身の反応が大きく変化し、特に75歳以上では、75歳未満の者と比較して、
「眠りが浅くなる」、「判断力が落ちる」、「物事が面倒になった」、「頭の回転が鈍くなった」などの反応がみられやすくなります。
ということから、ストレスを解消することはこころだけでなく、からだにとっても重要であることが分かります。

さて、それではそのようなストレスに対してどんな対処方法があるのかについてご紹介します。
高齢者のストレス解消法についてのアンケート結果4) を表1に示します。

表1.高齢者のストレス解消法

この結果の中で多かったのは「友人に話を聞いてもらう」、「配偶者に話を聞いてもらう」ということでした。
友人や家族に話を聞いてもらうことには、不安な気持ちを落ち着かせ、安心感を得る効果があります。
話しているうちに、自分自身がどんなことに悩んでいるのかが整理され、気持ちが楽になります。
女性の特徴として「趣味の集い等に参加する」、「配偶者以外の家族に話を聞いてもらう」など、つながりのある人に話を聞いてもらうことが、ストレス解消になる傾向にあります。
通院されている女性の患者様の中にも、おうちに集まってのお茶飲みや、地域のサロン等に参加することが楽しみだという方が多いです。
それに対して、
男性は「スポーツなどをして身体を動かす」という回答が多くみられました。
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動基準2013」では、身体活動や運動が生活習慣病の罹患率や死亡率を低下させるとともに、気分転換やストレス解消につながり、こころの健康の改善にも効果があるとされています。
読者の皆様の中にも、グランドゴルフなどのスポーツや毎日散歩をしている方がいるのではないでしょうか。

また、気持ちをコントロールするホルモン「セロトニン」が体内で増えることは、心身の安定につながるとされています。
ここで、セロトニンを増やす方法をいくつかご紹介します。
1つ目は「太陽の光を浴びる」ことです。
光が目の網膜に入ると信号が脳に伝わり、セロトニンが生成されます。朝起きたらカーテンを開けて、太陽の光を部屋に取り込むだけでも効果があるそうです!
2つ目は「リズム運動」です。
同じ動きを繰り返し行うことで脳のセロトニン生成が刺激されます。
リズム運動とは、ウォーキングや歌を歌うこと、よく噛んで食べることなどです。
どの方法も、簡単に生活に取り入れられそうなものですね!

ストレスの感じ方や度合いは人によって異なります。
ストレスに気付き、早めに対処するためには、自分にとってどんなことがストレスになるのか、またそのストレスに対してどう感じているのか、自分自身のストレスと向き合うことも1つの方法です。
皆さんも自分に合ったストレス解消法を見つけてみてください。
また、おすすめのストレス解消法がありましたら、ぜひ教えてください!

河原田 )

参考資料
1) 内閣府:https://www8.cao.go.jp/kourei/ishiki/h08_sougou/a_15.html
2) 大原薬品工業:https://www.ohara-ch.co.jp/meitantei/vol01_1.html
3) 厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/kokoro/first/first01.html
4) 健康長寿ネット:https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/rouka-yobou/sutoresu.html

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